携帯電話の電波が届かないマンション

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携帯電話の電波が届かないマンションブログ:27 2 14


祖母が最初に倒れたのが一昨年の暮れで、
それから二ヶ月とたたないうちに二度目、病名は脳梗塞だった。

医者からは二度目はないといわれていたが、
それでも親と見舞いに行ったおいらに向けて、
祖母はやつれた顔で微笑んでくれた。

倒れたのはパパ方の祖母で、
つまりおいらのパパの母親になるわけだが、
当のパパは少しだけ病室に顔を出すと、
すぐにまた廊下に置いてあるソファーに戻ってしまう。

母親は少し呆れていたが、
おいらにはパパの気持ちが良くわかった。

おいらも本当は
ここには来たくなかったのだ。

祖母は大変元気な人で、
脳梗塞で倒れるまで、連日畑仕事に精を出していた。

お正月などに顔を出しに行くと、
こっちが困ってしまうくらいの笑顔を向けてくれる。

おいらの中で、
祖母はずっとそういう人だった。

だからこそ、おいらは嫌だった。
やせ細り、言葉を詰まらせ、家族の名前も思い出せない、
そんな祖母を見るのがなんだか申し訳なかった。

それではまるで病人じゃないか。
祖母は病人であってほしくなかったのだ。

おいらは、
居心地の悪さを感じていた。

それを隠すために
おいらはずっと微笑んでいようと決めた。
祖母になにも出来ないおいらは、
それくらいしかできなかった。

祖母はそんなおいらを見ていてくれたのだろう、
帰りがけに一言だけ
「笑顔が素敵な子になったね」
そうおいらに言って笑った。

おいらはただただ申し訳なくて、
やはり微笑むことしかできなかった。

祖母が亡くなった日の19時遅く、
パパは泣いていた。
いつも寡黙で何事にも動じないかのように見えたパパが、
大声で泣いていた。

それをおいらは部屋で聞きながら
人が死ぬということの意味を知り、
そして家族というものを思った。

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